福島県への要望書提出~緊急事態宣言~
福島の甲状腺がんは増え続け391名に達し、事態は更に悪化している。にもかかわらず福島県主催の県民健康調査検討委員会も甲状腺検査評価部会も13年間“どうどう巡り”の議論をし、対策を先伸ばしている事は人権侵害であり、犯罪だ。学術的には9年前に決着(過剰診断は無いという結論が世界の医学会で決着済:別紙参照)がついている。そこで緊急事態宣言として以下の要望書を福島県に提出した。
【要望書】~緊急事態宣言~
福島県・県民健康調査課 2024年11月25日
佐藤課長殿
cc県民健康調査検討委員会
重富秀一座長殿、
日頃のご尽力に感謝いたします。
他の専門家の情報を学ぶ佐藤課長の真摯な態度には敬意は払うものです。
しかしながら、今まで多数の要望書を提出してきたにもかかわらず、すべての要望書は何らの議論も検討も加える事なく、闇に葬りされ続け、無視し続けてきました。13年間にわたり県民健康調査検討委員会や甲状腺評価部会の議論も、疫学的知見に乏しい委員らが、どうどう巡りの議論をしているにすぎません。しかも初期内部被ばく線量に関する知見を持ち合わせる専門家は皆無です。その為UNSCEAR2020/2021報告書の初期被ばく線量の矮小化に強く関与してきた、鈴木元氏の間違った見解に対し、誰一人として異論を唱え、問題追及できる委員はいません。
その結果、未だに391名もの甲状腺がん患者や、今後発症する甲状腺患者は放射線との関与も否定されている為、注意喚起や支援対策もほとんど受ける事なく、無視され続けています。福島県(検討委員会・評価部会・福島医大含む)の無策・不作為によって、甲状腺がん患者やその家族から『告訴される可能性がある』と、Chat GPTは警告しています。
この状況を一刻も早く打開するには、福島医大に代わる第三者機関の設立や検討委員や評価部会委員の資格※の厳格化、他の専門家(参考人)の意見を聞く機会を設ける、積極的な情報公開、県民との対話集会の開催や記者会見での後半20分程度は県民の質問にも答える場を設け、納得いくまで議論する等、形骸化された福島医大、検討委員会や評価部会の改革・刷新を要求致します。
この事によって、一刻も早く、正しい結論に導き、福島県(医大や委員会含む)を信頼回復させ、391名もの甲状腺患者や、今後発見される甲状腺がん患者への、迅速で適切な、抜本的な施策の実施が可能となります。今の放置状況は人権侵害にあたります。
評価部会座長鈴木元氏の間違った主張(別途公開質問提出予定)を押し通す頑張りと粘りがなければ、検討委員会も評価部会も福島県も、とっくに被ばくの影響を認め、甲状腺がん患者への支援や、適切な甲状腺検査がされる事になり、より早期発見、早期治療、早期支援が実現したはずです。鈴木元氏の責任は重大で、その責任も問われなければなりません。(別紙参照)
福島県は結果責任が問われます。そこで、以下の6項目の設置・改善等を要求いたします。一刻も早い決断と実行をお願いするものです。緊急事態である事をご認識ください。
再度警告致します。
【緊急事態要望事項】
1.初期内部被ばく線量評価部会の設置
鈴木元氏は環境省の資金援助を受けて実施された『放射線の影響に係る研究調査事業』の研究論文にもとづいて評価部会や検討委員会で発言しています。
鈴木元氏らの論文は、3月15日~16日のプロ―ムの初期内部被ばく線量評価を1/100も低いTerada2020論文(ATDM)をベースにしたものです。
(別紙 「福島原発線量評価について」 P8,9.及び「UNSCEAR2020報告書におけるI-131及びCs-137の過小評価について」を参照。Terada2020論文は3月15日~16日のプルームは全く捉えていない)
しかも比較的線量の低い3地域で測定した1080人の甲状腺検査は、バックグラウンド値を引きすぎ、少ない人数のデタラメなデータと鈴木元氏らのシミュレーション(論文)が一致したと、平然と評価部会で説明しています。
(鈴木氏らの研究の大前提は 推定値を1080名の実測値と一致させることが目的。詳細は別紙 「福島原発線量評価について」 P13参照。鈴木元氏らの包括研究目的:https://www.env.go.jp/content/900406511.pdf
しかも、『私たちUNSCEARは』との発言は、彼のUNSCEAR 2020/2021報告書への強い関与を暴露してしまったと言えます。更に『初期内部被ばくがUNSCEAR報告書の100倍以上あったという人達もいるが』と、何の根拠も示さず、その事を否定しています。※※
このような公的な場所で一方的に自分の論文内容(UNSCERA報告書)が正しいと発言する事は、公正・中立ではありません。
この初期内部被ばくの正しい検証は、甲状腺がんの放射能の影響を議論する上での基本指標です。この過小評価が『放射線との因果関係を否定している』のです。初期内部被ばくは、最も大事な指標の一つです。初期内部被ばく線量評価部会の設置が必須です。
※鈴木元氏らの包括研究詳細: https://www.env.go.jp/content/900414278.pdf
※※11月15日開催された甲状腺評価部会の記者会見にて、NHKの藤川チーフ・デレクターの質問に対する鈴木元氏の間違った回答に関する問題点指摘と公開質問は別途提出します。
メンバー(案): 黒川眞一氏(高エネルギー加速器研究機構・名誉教授)
森口祐一氏(国立環境研究・所理事)、
本行忠志氏(大阪大学・名誉教授)
JAEAから1名、その他から1~2名程度
※参考人(UNSCEARに採用された論文内容説明者):石川徹夫氏(福島医大教授)
- 設置の可能性と意義
部会が設置されることで、初期被ばくのデータ収集と評価の透明性が向上し、新たな政策実行を可能にし、甲状腺がん患者等の救済につながる事が期待できます。
2.県民健康調査委員会や甲状腺評価部会での参考人からの意見説明の場の設定
- 専門家(参考人)の参加と意義
①疫学的知見からの見解:津田敏秀氏(岡山大学特任教授)、
②UNSCER2020/2021報告書の問題点:本行忠志氏(大阪大学名誉教授)、
③初期内部被ばくの検証:黒川眞一氏(高エネルギー加速器研究機構名誉教授)
④疫学的、国際的視点からの見解:ISEE(国際環境疫学会)
⑤県民健康調査の問題点:種市靖行医師
などの専門家による説明は、委員会の議論の偏りを補正するために重要です。これにより、異なる見解が共有され、よりバランスの取れた議論が期待できます。
3.福島医大に代わる第三者委員会の設立 (7月23日及び11月5日に要望書提出)
- 設立の必要性
福島医大の調査や分析の信頼性・能力(疫学や初期内部被ばく線量評価)が低い現状では、補完する独立した第三者機関が必要です。第三者機関としては疫学で優れた実績のある岡山大学やISEE(国際環境疫学会)を推薦します。
4.福島県から各学会や団体への委員推薦の具体的条件の提示
現在の県民健康調査検討委員や甲状腺評価部会が形骸化しているのは、その委員の資格、能力等の選定基準にあります。そこで福島県から各学会や団体へ委員の推薦依頼を出す場合には、以下の条件を示す事が必要です。
・委員の推薦に際して、以下の具体的な条件を提示する事。
- 過去10年以内に被曝や公衆衛生に関連する査読論文を発表している事
- 国際学会での発表経験や研究活動がある事
- 任期は5期10年以内、または4期8年以内とする事
- UNSCEAR2020/2021報告書に採用された論文の著者は含めない事。
特に環境省の委託研究論文の著者は含めない事。 - 政府や産業界から独立した立場を示す誓約書を提出する事
- 研究成果の透明性を保証し、データの公開に同意する事
- 環境省からは委員ではなくオブザーバーとする事
※推薦された委員には、事前に福島の多発する甲状腺がん患者への一刻も早い対策や必要な処置についての見解を提出してもらう事。
また簡単なアンケートや放射線に関する知見を試すテストの実施も有効。
5.対話集会の開催
県内各地で県民との対話集会を、1年に1回程度実施する事。
尚、この対話集会は福島県が率先し実施すれば、全国のモデルケースとなります。
実施例は以下ご覧ください。(※)
- 対話集会の実施の重要性
対話集会を通じて、県民の声を直接聞く機会を設けることで、県民の不安や疑問を解消する一助となります。また、県+検討委員会+評価部会+福島医大が一堂に会することで、県民の声に耳を傾け、具体的な改善施策の参考とする事で、福島県や検討委員会への信頼回復が期待されます。
※廃炉等支援機構の廃炉に関する福島県内での対話集会の実施例です。
https://www.dd.ndf.go.jp/activity-report/taiwa/index.html
6.記者会見後に県民からの質問受付実施 (11月13日要望書提出)
・ 県民との対話の機能強化と透明性の向上
記者会見に県民の質疑応答を組み込むことで、県民とのコミュニケーションが強化され、透明性が高まります。20分程度の時間枠を設けるだけでも、県民健康調査の透明性を高める効果が期待されます。これにより、従来の記者会見形式が持つ制約を超え、問題の本質を深掘りしやすくなります。また、市民の声を直接反映する場を設けることで、県民との信頼関係の構築が促進されます。但し、記者や県民からの質問は途中で遮ることなく、納得するまで徹底的な対話を実施する事が必要です。
7.『要望書』に関して、検討委員会や評価部会で議論する事。(11月13日要望書提出)
・議論の質の向上
「その他」の議題について委員や事務局の意見を求め、市民や市民団体の要望書を議論に組み込む事によって、議論の幅と深さを広げる効果があります。
これにより、従来の議論が繰り返しとなりがちな状況を打破し、新たな視点を取り入れた政策実行の契機となる可能性があります。
総括
これらの要望を速やかに実現する事で、福島県内の放射線影響に関する現状の問題点を浮き彫りにし、改善する為に非常に効果的です。特に、因果関係の追求の為の専門家(参考人)の意見を聞く事や福島医大に代わる第三者機関の設立、対話集会の実施など、透明性と信頼性を向上させる事は重要です。
この事によって甲状腺がん患者や、県民の健康と福祉の向上に寄与することや、福島県が甲状腺がん患者やその家族、専門家等からの告発・告訴を防ぐ事も期待されます。
福島県が市民参加型の透明性の高い運営を実現すれば、他地域や他国における災害後の健康調査や住民支援のモデルケースとなる可能性があります。これにより、福島が新たな危機管理の在り方を提示するリーダーシップを発揮することが期待されます。
事態は更に悪化しています。一刻も早く、必要な措置を取るよう警告いたします。
“どうどう巡り”の議論をし、対策を先伸ばしている事は犯罪です。学術的には9年前に決着(別紙参照)がついているのです。緊急事態である事をご認識ください。
【別紙】 【専門家からの警告】
~緊急事態宣言~
私は、2015年10月に医学的根拠(事故により甲状腺がんの数十倍の多発が生じている)をもって、国際学会誌と協力して「早期警告early release」を記者会見で発表し、警告を出しました。もう9年前です。翌年1月には、国際環境疫学会が声明を出し日本政府と福島県に書簡を出しました。その後、過剰診断報告書の撤回要求、クレロ論文への反論、などなど査読付き医学雑誌に報告してきました。つまり、学術的な決着は9年前についているのです。
その後も、甲状腺がんの多発は続き拡大しています。それにもかかわらず、環境省や福島県は無視して必要な措置を一切していません。しかも、データ分析結果の書き方は異なっても、事故による甲状腺がんの多発を示しています。しかも数十倍の多発という極めて、はっきりした多発です。
専門家や国際学会(ISEE)がエビデンスに基づいて警告を出しているにも関わらず、9年以上の放置が続いています。これまでの薬害事件等の例を見ても、これは逮捕されて責任を問われるような事態です。
それなのに、専門家でもない鈴木元先生はエビデンスもないまま、ただ、(鈴木元先生独自の解釈で)対策が行なわれないように、先延ばしをして妨害をしているわけです。(※)
後日、専門家が協力すれば逮捕の対象にもなり得ます。(※※)
福島県は「なぜ要望書に対する返事を出さないのか?」「なぜ既に出している情報を県民が利用できるように流さないのか?」「なぜ福島県民が少しでも安全に過ごせるように役立つ安全対策情報や議論を公開しないのか?」「なぜ検討委員会や甲状腺検査評価部会に要望書に関する議論をさせないのか?」
ここまで言うのは、事態が悪化しているからです。甲状腺がん患者が広がって、数が増加しているからです。そしてこれまでの論文によると、子ども以外にも広がっていると考えるのが妥当だからです。ここに緊急事態宣言を発します。
※検討委員会や評価部会の他の委員は鈴木元氏の独自解釈に異論を出せる知見がない為、対策を先延ばしさせている。
※※福島県も患者や専門家からの告訴の対象となる可能性があります。
最後に某専門家の言葉を再度掲載します。
★みなさんは、恐ろしいほど残虐で、非人道的で、後々責められても仕方のないことをされています。もっとご自分の将来のことも考えてください。
★沈黙を続けること自体が福島県の青少年を危険にさらすのです。どうか、県民や他の専門家の意見に耳を傾けてください。皆さんは責任を問われる立場なのです。
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